2018.12.06防災 , 土砂災害

土砂災害の原因とは?緊急時に起こり得る現象と日常における防災対策

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土砂災害イメージ画像

日本では山崩れなど土砂災害が多く発生し、犠牲者も多く出ます。「どんなものが土砂災害の前兆となるのか」「緊急時にどう対応すべきか」がわかると非常時の備えになります。ここでは、日本で土砂災害が多い理由や土砂災害の種類と原因について紹介します。また、自宅を構える際に役立つ土地情報の概要もあわせてお伝えします。土砂災害の備えをしておきたい方や土地・住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

土砂災害が多発する日本の現状

土砂災害にはがけ崩れ、土石流、地すべりの3種類があり、土砂災害とは土砂の移動により被害を受けることをいいます。

日本に土砂災害が多い理由には地形や地質、気候、地震の頻度などが影響しています。日本は大陸プレートのユーラシアプレート、北アメリカプレートと、海洋プレートの太平洋プレート、フィリピン海プレートの4つが国土に接していて、それぞれが押しあってひずみがたまりやすく、地震が起きやすい場所です。

 

日本列島周辺のプレート(名前あり)

出典:「日本列島周辺のプレート」(地震調査研究推進本部)

 

日本にはわかっているだけでも2,000箇所以上の活断層があり、まだ発見されていない活断層も多くあると考えられています。実際に内陸活断層では糸魚川̶静岡構造線断層帯、富士川河口断層帯などのように危険度の高い活断層が多く存在していることで知られ、これらの地域では地震が起きやすくなっています。

日本の活断層位置-

出展:「日本列島における活断層の分布」(地震調査研究推進本部)

 

また、日本は降水量が高く、年間平均雨量が約1,718ミリほどです。世界の平均降水量が約880ミリのため、世界的にみても雨や雪が多い地域といえます。雨は年間を通じて平均的に降るわけではなく梅雨や台風、秋雨などの季節に大量に降ります。また、国土の約半分が積雪地帯のため、冬期は降水量が高くなる特徴があります。

 

さらに、日本には火山や山脈など高く険しい山地や、富士川・最上川・球磨川をはじめとする急流の川が多くあります。もともと国土面積が小さいことから平地だけではなく、がけに近い土地や急斜面、川の扇状地にも家屋があり、土砂災害が起きると上流から下流へと猛烈な勢いで水が流れ、流木も多く出て被害が拡大しがちです。日本は山や丘陵が多い地形に加え、雨や地震が多いという条件が加わっていることが原因で、土砂災害が多発する傾向にあるのです。

土石流の様子

出典:「土石流の様子」土砂災害防止広報センター

2014年8月20日に広島市では集中豪雨による大規模な土石流とがけ崩れが起き、非常に大きな被害が出ました。このことを受け、土砂災害防止法が改正・施行されました。2018年3月時点で、土砂災害防止法によって指定、公表された土砂災害警戒区域は全国で約53万域あります。雨が降った後に水がどう流れるかは山の斜面の方向など地形からある程度予測できます。

 

そこで、予測される降水量をもとに注意報や警報が出せるようになっているのです。指定地域は年々増加していますが、将来的には66万区域に上ると推計されています。また、土砂災害が起こりやすいかどうかは各地域の地質も影響しがちです。西日本は花崗岩(かこうがん)が山に分布していることが多く、もろく崩れやすい真砂土 (まさど)になると雨で流れ落ちやすく、土砂災害の原因になることがあります。

 

花崗岩とはマグマが固まってできた岩石で、お墓に使われる場合は御影石とも呼ばれます。これが、長年太陽光や雨風にさらされると、徐々に真砂土といわれる砂状の土になります。日本の場合、特に広島県や岡山県などは真砂土が多いため、比較的土砂災害が起こりやすい地質になっているといえます。

 

●土砂災害は年々増え続けている

近年ゲリラ豪雨や大型の台風が来るなどの異常気象が多く、50mm/h以上の雨が降る回数に比例して土砂災害の回数も年々増加傾向です。昭和58年~平成14年の過去20年間では、土砂災害の発生件数が年間平均は840件だったのに対し、平成15年~平成24年の10年の統計をみると、土砂災害発生回数の年間平均は1,179件と急増しています。

 

土砂災害は後述のとおりさまざまな原因で起こります。現象ごとに原因や被害の規模が異なるため、予測が難しい場合もあるでしょう。土砂災害警戒情報を活用することも大切ですが、自分たちで防災について備えておくことが必要です。

 

土砂災害が発生する主な原因と起こり得る現象

台風などの影響で短時間にたくさんの量の雨が降る場合や、いつまでも雨が止まずに長期間降り続いている場合などには、がけ崩れや地すべり、洪水、土石流などの土砂災害が起きる可能性があります。実際に2018年7月の岡山県や広島県では、堤防が複数の箇所で決壊し、周辺地域は甚大な被害を受けました。

 

また、熊本県水俣市では、2003年7月に梅雨前線による集中豪雨で大規模な土石流が発生しています。土石流とは一度にたくさん雨が降った時に溜まった雨水が山の土や石などと混ざり、山のふもとの地域へ一気に流れ落ちていく現象です。土石流で土砂が流れる速度は時速20~40km といわれ、土石流が起きたと気づいてから逃げるのはかなり難しいものです。

 

●地震 

地震で起こりうる土砂災害には天然ダムの決壊、山体崩壊、地震後の豪雨被害などが考えられます。天然ダムとは土砂などで川がせき止められ、徐々に水がたまってダムのようになっている場所です。人工のダムと違い水をためていられるようにしっかり固定しているわけではないので、余震などの揺れで崩れてしまうことがあります。

河道閉塞

出典:「河道閉塞(天然ダム)のようす」土砂災害防止広報センター

山体崩壊とは、山に内側から大きな力が加わり、地質が弱い部分が崩れ落ちることです。大量の土砂などが押し流されるため、山体崩壊後は山の形や付近の地形が大きく変わります。また、地震の後は地盤が大きく緩んでいるため、このタイミングで雨が降ると少ない雨量でも土砂災害につながる恐れがあります。なお、北海道厚真町では2018年9月に地震による土砂崩れが起きています。この場合は、震度7と地震の規模が大きく、行政が作ったハザードマップを越えた区域でも被害がありました。

 

●大雪  

雨と同じように雪でも土砂災害が起こる可能性があります。雪が降った後に気温が急激に上がると雪の表面だけが溶けて雪崩が起こりやすくなります。積雪の多い地域では一度降った雪が溶けていくと落石やなだれ、冠水などに注意が必要です。また、気温が上昇していくと雪は地中にそのまま染み込んでいって、地盤を弱くすることがあります。

 

一方、地中に染み込んだ水が凍ってしまうと土の中で楔を打ったような状態になってしまいます。土の中の割れ目が大きくなっていくとそこから地表が崩れる可能性もあるのです。そのため、雪が降った後に一気に気温が上がった場合だけでなく、気温が上がってまた急に寒くなった場合にも土砂災害の危険性が高まります。

 

●火山の噴火 

火山の噴火が原因になる土砂災害には、溶岩流や火砕流、山体崩壊、火山泥流、降灰などがあります。溶岩流とは噴火した溶岩がそのまま流れてくることです。溶岩は非常に高温で建物や道路、農地、森林などを飲み込みます。流れる速さは比較的遅く、地形や溶岩の性質によっては人間の足でも逃げることが可能です。

 

火砕流は、高温の火山灰や石の塊空気水蒸気などが一気に爆発したもので、流速が数十km~数百km/hと非常にスピードが速いのが特徴です。噴火警報などがあった時点でただちに避難しなければなりません。また、噴火の際の衝撃で、地震と同じように山体崩壊の可能性があります。山に雪がある場合は、噴火の熱で雪が溶けてしまいます。

 

これが火山泥流として大量に雨が降ったのと似た状況を作り出すのです。火山が噴火して周辺に灰がまき散らされると、土に膜を張ったような状態になり、雨が降っても水分が地下に浸透しにくくなります。また、火山灰が川をせき止めてしまうことも。このような状況が長く続くとあるタイミングで土砂災害につながることがあるのです。

 

土砂災害を引き起こす原因から身を守るには

このような土砂災害からどのように身を守るには、日頃から防災意識を持っておくことが大切です。

 

土砂災害の危険度を学んで防災対策を行う

各地域がどのくらい土砂災害の危険性があるのかについては、国や自治体が公開している情報から調べられます。国土交通省のホームページでは「わがまちハザードマップ」として、日本全国の各市町村でどのようなハザードマップがあるのかがいつでも閲覧可能です。土砂災害が発生しやすい区域や、もし本当に土砂災害が起きた場合にどこへ避難すれば良いのか、避難場所の確認も必要になります。

 

集中豪雨などで雨がたくさん降っているときは土砂災害が起きる可能性があります。「台風のときは海や川に近づかない」といわれますが、それと同じように「土砂崩れが起きる恐れのある場所には近づかないこと」が大切です。土砂災害が起こる前は、「立木が裂ける音や大きな石が流れるような音がする」「川の水がにごる」「異様な臭いがする」など、前触れにあたる現象も知られています。危険を感じたらできるだけ早い段階で安全な場所に避難するようにしましょう。

 

●災害に強い安全な住まいづくりをする

最近は土地を売り買いする場合や家を新築、増築する前に地盤調査を行うことが増えてきました。その土地の地盤調査だけでなく、その土地が持つ災害リスクが分かると、災害の備えにつながります。

 

地盤サポートマップ

地盤サポートマップは日本全国の地盤調査・解析を手掛けるジャパンホームシールドが提供する地盤情報や防災に役立つ様々な自然災害情報を無料・登録不要で調べることができるweb上の地図です。住所検索が簡単にできるので、知りたい土地の災害情報を調べることができ、レポート作成機能があるためオリジナルのハザードマップを作成することができます。

 

地盤サポートマップ

 

ジャパンホームシールドの土地情報レポート

最近地震が多いため家を建てようとしている場所の地盤や建物の耐震性などが気になる人が増加傾向です。ジャパンホームシールドの「暮らしを守る 土地情報レポートPro」は、土地の災害に関する特性をまとめた事業者様向けサービスです。災害情報とともに解説や対策についても記載されています。対応できるのは日本国内全域で、土地の特性として以下のようなことがわかります。

 

・過去にその土地がどのように使われていたのか

・地層の年代などに基づく地盤の状況

・地震の発生確率や揺れやすさ

・地震の際に液状化しやすいかどうか

・集中豪雨で河川が氾濫した場合の浸水区域、土砂災害リスク

・災害が起きた場合の避難施設情報

 

住宅メーカーや不動産会社などからすると、土地の安全性を考慮して建築プランなどを提案できるメリットがあります。購入する側からみても、災害の起こりにくい場所を選んだり、取り除けない要因があったりする場合はあらかじめ災害に備えて対策しておくことが可能です。そのため、土地を売る側、買う側双方の安心につながるサービスといえるでしょう。

 

なお、作成にかかる費用は、不動産・仲介業者または建築事業者が作成する1アカウント(ID)につき月額3,000円(税別)です。利用回数に上限はないため、いくつか候補になる土地が複数ある場合の絞り込みに活用することもできます。

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土砂災害の原因を知って被害に強い家を手に入れよう

土砂災害は地震や大雨など、さまざまな条件で発生し、住宅地として造成されている場所でも土砂災害の危険箇所になっていることがあります。住宅の購入を検討する際は、地盤調査を行うことはもちろんのこと、ハザードマップなどを確かめて非常時に備え、自宅がどんな原因で土砂災害の被害を受ける可能性があるのかを調べておくのがおすすめです。

 

おわりに

今回は日本で土砂災害が多い理由や自宅を構える際に役立つ土地情報についてご紹介しました。

土砂災害から身を守るためには、日頃から防災意識を持っておくことが大切です。

 

家を新築する前には地盤調査を行うことが増えてきましたが、地盤だけでなくその土地が持つ災害リスクについても知っておくと災害の備えにつながります。

住宅や土地の購入や家を建築する際には、災害リスクを把握して必要に応じてできる範囲の対策をとることをお勧めします。

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ジャパンホームシールド株式会社
ジャパンホームシールドは戸建住宅の地盤調査・解析、構造設計、住宅検査を手掛ける企業です。 年間10万件を超える地盤調査・解析実績は国内No.1。 住まいの安全・安心を追求し、住まいづくりに役立つ情報を発信いたします。

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