地盤と建物のWebメディア。知って、学んで、解決する!
地盤と建物のWebメディア。知って、学んで、解決する!
人気の記事
地盤調査の費用相場はどのくらい?調査の種類と違いについても解説
この記事をシェアする
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • URLをコピー

住宅やビルなどを建設する際には、事前に建設地の地盤調査を行います。地盤調査とは、建物・構造物を建てる前に地盤の強度を把握するために行うものです。

通常、建築物を設計する際には、地震の揺れや建物自体の重さに耐えられるよう「構造計算」を行います。構造計算を行うためには、地盤の状態を正確に把握しておかなければなりません。

そのため、新築住宅を建てる際や、中古住宅の建て替えの際には、必ず地盤調査を行います。地盤沈下で家が傾くといったことがないよう、安全性の高い家づくりをするためにも、住宅を建てる前に地盤調査を行うことは不可欠といえるでしょう。

今回は、住宅を建てる前に必ず行う地盤調査について、費用の目安や業者選びのポイントなどをご紹介します。

 

地盤調査の種類と費用相場・調査期間の目安

地盤調査にかかる費用・相場

地盤調査の費用相場やかかる期間は、調査方法によって異なります。地盤調査には現地調査、資料調査、周辺調査の大きく3つがあります。

 

現地調査

現地調査には一般的に以下の4種類が挙げられます。

  1. スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
  2. スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)
  3. ボーリング調査(標準貫入試験)
  4. 表面波探査法

 

1. スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)

SWS試験

一般の一戸建て住宅において、最も多く利用されている調査方法です。

スクリューウエイト貫入試験は、鉄の棒(ロッド)にドリル状の部品(スクリューポイント)を取り付け、おもりで荷重をかけます。そこから、スクリューポイントを回して、地中に貫入させていくという手順の調査方法です。おもりの重さや回転させた回数によって地盤の強度を調べます。住宅建築予定地の四隅と中央の5点で調査を実施するケースが多いです。

費用が安く、たくさんデータをとれるので、一戸建てのような小規模な建物に適しているといえます。

費用相場は8万円前後、調査期間は数時間で完了します。

 

2. スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)

SDS試験

本サイトを運営するジャパンホームシールドは、上記のSWS試験に加えて、スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)と呼ばれる地盤調査を組み合わせた高精度な調査方法を採用しています。

従来のSWS試験では「ジャリジャリ」などの音で土質(砂質土・粘性土盛土)を推定していました。これに対し、SDS試験ではトルクなどのパラメータや地形条件、近隣ボーリングデータなどを参考に、土質の推定精度を高めることに成功しました。土の種類が分かることで地盤の強さがより正確に判断することができ、地盤事故の防止や必要ない補強工事の防止につながっています。

これまでの調査実績は累計で60万棟を突破し、お客様にご好評いただいております。

費用相場は8万円〜10万円、調査期間は2日〜3日程度です。

特許取得しているSDS試験についてはこちらから

3. ボーリング調査(標準貫入試験)

ボーリング調査

ボーリング調査(標準貫入試験)は、ボーリングで地面に8cmくらいの穴を開け、そこにサンプラーと呼ばれる鉄の筒状部品を挿入します。そのあと、サンプラーの上からハンマーを所定の高さで落下させて、何度ハンマーによる打撃を要したかによって地盤の強度を測定します。

マンションなど杭を打つための支持層を把握する必要がある建築物や、地下がある建物などでよく用いられる手法です。多くの地盤調査に利用されていて、実績も豊富にあるため、データの信頼性が高く、その分調査コストも高いのが特徴です。

費用相場は20万円〜30万円、調査期間は最低でも数日以上かかります。

4. 表面波探査法

表面波探査法は、起震器と呼ばれる振動を発生させる装置と、振動を捉える検出器を地面に設置します。起震器から発生した振動が地面に伝わり、その振動の伝わる速さで地盤の強度を測定します。
測定器の設置方法や調査担当者の技量、地中の空洞や埋設物によって、測定結果が左右されやすい調査方法です。

費用相場は8万円前後、調査期間は数時間で完了します。

 

 

調査方法による費用・期間の比較

これまでご紹介した地盤調査方法の特徴をまとめます。

  特徴 費用 期間
スウスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
  • 一戸建て住宅の調査によく用いられる
  • 比較的安価かつ短期間
5万円〜10万円 約半日から1日
スクリュードライバーサウンディング
  • SWS試験よりも土質の推定精度が高い、新しい手法
8万円〜10万円 約2日〜3日
ボーリング調査(標準貫入試験)
  • マンションや地下のある建物の調査に用いられる
  • 深くまで調査できる
  • コストと調査期間がかかる
20万円〜30万円 数日以上
表面波探査法
  • 地面を掘らずに調査する方法
  • 深いところの地質などは調査できない
  • 地中の状態などにより測定結果に差が出る
8万円前後 数時間程度

上記の内容は、一般的な敷地面積で考えた場合の目安です。またどの調査方法が適しているかは、土地の状態や敷地の広さ、建てたい家の形状によっても変わります。

さらに、地盤に問題が見つかった場合、地盤改良工事を行う必要があります。その場合は別途50万円〜200万円程度の追加費用がかかることも注意しなければなりません。

詳細は、依頼している設計士やハウスメーカー、各調査会社へお問い合わせください。

 

資料調査(地図を見て地盤の状態を推測)

資料調査では、まず地図と土地条件図を見て、台地か低地なのかを確認します。昔の地図と今の地図を比べると、低くなっている場所は地盤が削られ、高くなっている場所は土が盛られているなどといったことがわかります。また、土の種類の分布や、土地条件図によって土地の成り立ちを調べることで地盤の強度を推測できます。

地形断面図/3D画像

地形断面図
地形の形状を高い精度で把握します。

地形図

地形図
土の種類の分布や、堆積した時期を確認します。

土地条件図

土地条件図
干拓や埋め立てなど、土地の生い立ちがわかります。

旧版地形図

旧版地形図
1930年代以前の地形図。当時の地形と現在の地形を比較します。

旧航空写真

旧航空写真
現在の状況と比較し、土地の変遷を確認します。

周辺調査(周辺の建物や道路の様子を観察)

周辺の建物の傾きなどをチェックします。壁の亀裂やブロック塀のたわみなどがあるとその付近一帯は過去に地盤沈下した可能性があると考えられます。また、道路面の波うちなども沈下する危険性を示すひとつの指標になります。

dummy image
壁の亀裂
ブロック塀のたわみ
ブロック塀のたわみ
道路の波うち
道路の波うち

地盤調査はいつ行う必要があるのか

地盤調査は、土地へ建物を建てる前に行います。たとえば新築注文住宅を建てる場合や、中古住宅の建て替えを行う場合です。

敷地内の建物の配置を決めたあたりで調査を実施し、希望通りの住宅が建てられそうか地盤の状態を確認するケースが一般的とされます。

建売住宅は事前に地盤調査済であることが多いため、購入契約前に地盤調査報告書を見せてもらうようにしましょう。中古物件の場合は、過去に実施した地盤調査報告書を売主が保管していれば見せてもらえるかもしれません。

 

地盤調査の業者選び。そのポイントをチェック!

地盤調査を依頼する際には、業者選びも慎重に行いましょう。調査の結果によっては、その後に地盤改良工事や基礎の仕様に関する見直しが必要となるからです。

調査の技量や知識、専門性の高い業者へ依頼すれば安心なことはもちろんですが、さらに一歩先を見ることも大切です。万が一のケースを想定し、建築後に調査不備などの万が一のトラブルが起こった場合の補償体制の充実度なども考慮した業者選びをおすすめします。

ジャパンホームシールドが提供している「地盤サポートシステム」は、地盤調査・解析の正確さと安心の品質保証制度を両立したサービスです。建築中に万が一の事故があった場合でも専任のスタッフが対応に入り、サポート体制も充実しています。

 

地盤調査報告書のポイント

地盤調査を実施したら、報告書が発行されます。最終的には専門家の判断を仰ぐとはいえ、所有する土地のことは自分でもある程度理解したいと思うかもしれません。そのような方のために、地盤調査報告書を読み解くポイントについてご紹介します。

地盤調査では何を調べているのか

地盤調査では、主に以下の点を調べています。

  • 地形区分:自然の地形か、人工的に造成された地形か。盛土・埋立地など
  • 不同沈下リスク:敷地の造成履歴・擁壁の有無など
  • 建物を支える力:強度・支持力
  • 地震への強さ:土質・土層・地下水位・液状化判定など

ただし、何をどこまで詳しく調べられるかは、調査方法によって異なります。

 

地盤調査報告書の読み方

地盤調査結果についてまず知りたいことといえば、地盤改良工事が必要か否かという情報です。あくまでも簡易的な判断の目安ですが、スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)の報告書であれば、「自沈層」の有無に注目してみましょう。

自沈層とは、スクリューを回転させなくてもロッドが沈んでしまうような、柔らかい地層のことです。調査報告書には、貫入状態(ロッド貫入時の音や感触)を記録した項目があります。貫入状態欄に「ストン」という表現がある場合は、自沈層が存在し、地盤改良工事が必要になる可能性が高いと判断できます。

最終的な判断は複合的な要因が関係するため、専門家に確認しましょう。

 

地盤に問題が見つかったら?地盤改良工事の種類と費用相場

調査の結果、地盤が軟弱であることがわかった場合は、地盤改良工事を行う必要があります。ここからは、地盤改良工事の種類と費用相場をご紹介します。

表層改良工法

地面にセメント系の固化材を入れて強度を上げるのが、表層改良工法の特徴です。比較的安価で済みますが、名前の通り表層の地盤改良にしか対応できません。

2m以上深くまで軟弱な層が続く場合は、適用外となります。

費用相場は20万円〜50万円程度です。

 

柱状改良工法

コンクリートの柱を地面に打ち込んで地盤を強化する方法です。軟弱地盤が深く、表層改良工法が適用できない場合に用いられます。

費用相場は50万円〜100万円程度です。

 

鋼管杭工法

柱状改良工法と同様ですが、コンクリート柱ではなく鋼管を地面に打ち込んで強化する方法です。非常に深い地盤まで補強が可能で、狭小地でも工事できるという特徴があります。

費用相場は50万円〜200万円程度です。


おわりに

今回は、住宅を建てる際に必要な地盤調査について方法や費用、業者選びなどの基礎知識をご紹介しました。

地盤調査は精度の高い業者への依頼をおすすめします。長く住むことになる住宅の初期費用としては、決して高くはありません。地盤調査の依頼をする際は、ぜひ本記事を参考にしてください。

ジャパンホームシールドは、地盤調査・解析実績200万棟のデータをもとに、過去に行った調査物件の地盤データを地図上に反映した、「地盤サポートマップ」というサイトも展開しています。土地や住宅の購入を検討されている方は、住む予定の土地を事前に調べてみてはいかがでしょうか。

地盤サポートマップへの遷移
よかったら記事のシェアをお願いします!
ジャパわん
facebook
X
LINE
URLをコピー