2017.10.06防災 , 特集 , 避難所

【専門家に聞く】第6回 災害時の避難場所を知っておこう!

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避難場所を知っておこう

気象予報士・防災士の蓬莱大介です。

大雨による災害が毎年続いています。昔からも、大雨による大規模な災害はありました。ただ近年は、その頻度が多いように感じます。大地震もいつどこで起きてもおかしくありません。防波堤や河川の護岸工事を進めても限界があります。100年に1度レベルでインフラ整備をしたとて1000年で1度レベルの災害が起こりうるのです。実際に起こっている時代なのです。そして、天気予報の予測精度にも限界があります。日本という自然豊かな国に住む国民は、どれだけお金をかけて防災をするか考える時、その場所で滅多に発生しないものに対してどれだけ払えるかが問題になります。個人の場合だったら、もういいやになりがちです。

マイホームを洪水に強い家にリフォームするのも重要ですが、いざ災害が起きた時、起きそうな時に早めに「避難所に避難する」ということが結局の所、命を守る上での最高のコストパフォーマンスなのです。結果として何もなければ空振りになるという面倒さはあるものの。

平成29年7月に九州北部で起こった大雨では、「あっという間だった」「気づいたら外は浸水していて逃げられる状況ではなかった」「今まであふれたことのない川や池だったのに」という声が聞かれました。

これらの言葉は決して他人事ではありません。今回のコラムのテーマは「避難」についてです。

今年の記録的大雨

今年(平成29年)の梅雨は「暴れ梅雨」でした。平成29年7月九州北部豪雨では、福岡県朝倉市で降り始めからの雨量が500ミリを超えるなど、その地域のこれまでの大雨の記録をはるかに上回るような雨の降り方で大災害となりました。またその後も、新潟県、福島県、秋田県などでも記録的な大雨となり浸水や土砂災害の被害が出ました。

“50年に1度の記録的大雨になっています”という表現は、気象庁がここ5年くらいで使うようになりましたが、毎年どこかしらで起こる異常事態です。

「適応」しなければならない

地球そのものの自然変動時期なのか、人為的なCO2排出などによる地球温暖化が原因なのかは議論があるものの、ひとつ確実に言えることは、観測されている気温や雨量は、少なくとも120年間で毎年記録的であるということです。

その事実からは目を背けられません。来年異常気象が起きるかというのは100%は言えませんが、起きない理由が今の状況だと見つからないのです。今後も我々は極端な天候に「適応」していかなければならないのです。

すべて思い込み

人間、大きな災害に直面した時に「自分だけは大丈夫」と思ってしまう、これを心理学の言葉で正常性バイアスといいます。

「周りの人が逃げないから自分も逃げない」と思うことを集団性バイアスといいます。

「今までこの場所は災害が起きたことがないから、ここは大丈夫」これもすべて思い込みです。

平成29年から新しくなった避難情報を整理

あらためて、自治体が出す避難情報を整理しておきましょう。避難情報というのは気象庁が出すものではなくて、自治体(市区町村長)が発令するものです。

ここで、防災に関するクイズです。

 

避難勧告Q

平成28年の東北を襲った台風10号により岩手県の高齢者施設で9名の方が亡くなりました。

それを受けて平成29年から避難情報の名称が若干更新されています。

避難勧告A

では、もうひとつ避難マークに関するクイズを考えて下さい。

図記号1

いかがですか?

図記号2

細かいことですが、避難場所と避難所の違いがわかりますでしょうか。

避難場所は大規模な災害が発生した時に一時的に逃げることができる公園などのオープンスペースを指します。避難所というのは、例えば学校の体育館など、家に帰られなくなった時に数日寝泊まりできる場所を指します。

ちなみに、私が住んでいる大阪市では小学校の前に以下のような看板が貼られています。

図記号4

避難場所と避難所を兼ねているということですね。みなさんも家の近所で看板を探してみて下さい。

地盤サポートマップでも避難所情報がわかる!

このコラムで何度も紹介してきました、無料で見られるアプリ「地盤サポートマップ」

もちろんパソコンからでも見られます。

自分の今いる場所の航空写真、地震の揺れやすさ、液状化の可能性、活断層の位置、浸水想定区域、土砂災害危険区域、地震発生確率などほとんどすべての防災情報が一括して楽に見られるのが「地盤サポートマップ」です。

そして、避難所情報も地図に表示できるのです。しかも災害別に避難する場所が表示されます。例えば過去の災害事例で、台風の大雨の中避難所に向かう途中で橋を渡ろうとして、かえって被害に遭ってしまったということがありました。災害訓練も毎年しっかりされていた地域の方々だったのですが、その向かっていた避難所は、地震の時の避難所で洪水の時の避難所ではなかったのです。

避難場所

家の一番近くの避難する所はどこなのか簡単に見られます。携帯だと今いる場所がGPS機能で表示されますので、例えば出張先など見知らぬ土地でも簡単に調べることが可能です。

自分の今いる場所の航空写真、地震の揺れやすさ、液状化の可能性、活断層の位置、浸水想定区域、土砂災害危険区域、地震発生確率などほとんどすべての防災情報が一括して楽に見られるのが「地盤サポートマップ」です。ただ、防災に興味が出てここまで見たならば、ぜひ自分の住んでいる地域の市町村が作成した「ハザードマップ」もあわせてチェックして下さい。

最後にこれだけは

このコラムで、気象のみならず地震まで、そして避難所のことまでかなり詳細に書いたつもりです。

普段のテレビの天気予報では伝えきれない防災情報をたくさんお伝えしました。

最後に、これだけはしてほしいことが一つあります。

家族の中で「もし地震が起きたらこの避難所に行く」「大雨で浸水するようなことがあればこの避難所」と確認をしておいて下さい。

できることからちょっとずつでも。

自然との付き合い方や振る舞い方を今一度考えるきっかけにしていただけたら、このコラムを書いた意義があるというものです。

「災害は忘れた頃にやってくる」時代から「災害は忘れる前にやってくる」時代になっているのだと、気象を毎日伝える立場から強く感じています。

とにかく、「まずは自分の住んでいる地域がどういう所なのか」興味をもつ所から始めて下さい。

 

 

 

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蓬莱 大介

蓬莱 大介

気象予報士・防災士。早稲田大学政治経済学部を卒業後、俳優を目指していたが、書店でたまたま気象予報士の資格を知り一念発起。2009年10月に合格し、11年から読売テレビで気象キャスターに就く。レギュラー番組は「かんさい情報ネットten.」「情報ライブ ミヤネ屋」「ウェークアップ!ぷらす」。著書『クレヨン天気ずかん』(主婦と生活社)