2018.10.25地盤 , 地盤沈下

地盤沈下とは?住宅が傾く前に知っておきたい原因と対策方法

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地盤沈下とは

高い費用をかけて長く暮らすことを考えて建てた住宅が、住んでいるうちに傾いてしまうことは避けたいものです。住宅の傾きにはさまざまな原因がありますが、中でも多いと想定されるケースは地盤沈下でしょう。家が傾いてしまうことを未然に防ぐためにも、地盤沈下について知っておくことは大切です。そこで今回は、地盤沈下により住宅が傾く原因や事前の対策についてご紹介します。

 

地盤沈下とは?

地盤沈下とは、特定の地層が圧縮して文字通り地盤が沈んでいく現象を指します。地盤沈下には「広域での沈下」と「局地的な沈下」の2種類があります。

 

広域での沈下

広域で地盤が沈む原因としては、地震などの地殻変動による自然現象を要因とするものや、地下水の多量のくみ上げや鉱物・天然ガスなどの採取に伴う掘削による人為的要因が挙げられます。地盤沈下は、環境基本法において7大公害の1つに数えられています。

 

自然現象による地盤沈下でいうと、平成23年の東北地方太平洋沖地震により、岩手県、宮城県、福島県の太平洋沖で広範囲の地盤沈下が起こったのは記憶に新しいところです。地震により沈下した地盤の高さが徐々に戻りつつあります。

 

人為的要因の地下水の多量のくみ上げで発生する地盤沈下は、地下水のある帯水層の上下にある粘土層から、水分が帯水層に移動して粘土層の部分が収縮するというメカニズムにより発生します。

地盤沈下を防止するため、企業者や個人の地下水のくみ上げについては、地下水採取届出書の提出が必要になり、法律・条例などで揚水規制が一定の効果を挙げてきました。しかし、行政の指導による節水を続けた結果、地下水位が回復して上がり、地下室が浮くなどの問題も見られます。

 

広域の地盤沈下を測定するため設置されるものに「水準点 」があります。水準点は公共工事の測量などにも使われますが、地盤沈下の定期的な観測の基準としても使われています。水準点によって、地盤沈下が継続しているのか沈静化しているのかが計測可能です。

 

全国の地盤沈下の恐れがある区域や地下水の利用状況などの情報は、環境省 が各都道府県の協力を得て、全国のデータを集め「全国地盤環境情報ディレクトリ」として公開しています。これから購入しようとしている土地の位置している地区は、地盤沈下の恐れがあるかどうかを把握しておきましょう。

 

局所的な地盤沈下

住宅が傾く原因局地的な地盤沈下の原因としては、近隣の工事の影響や盛土や埋戻し土による圧密沈下が挙げられます。局地的な沈下は一部だけ傾きを起こすケースが多く、ふぞろいな沈下を起こした状態のことを「不同沈下」と呼びます。

不同沈下の要因がある土地に対策をとらずに建物を建てると、数年以内に地盤が沈下する可能性があり、建築直後に沈下することがあります。住宅が傾いてしまう沈下は、「局地的な沈下」に多く見受けられます。

 

●近隣の工事による地盤強度の低下

近隣で土を掘り返すなどの工事を行うと、地盤強度が下がり周りの地盤の土圧が下がります。周囲に影響を与えることを避けるため、通常大きな穴を掘るときは、周りの地盤が崩れないように対策するのが普通です。しかし、水分量の多い地盤の場合は、対策をしても周囲の地盤に影響が出て、地盤強度が弱くなることがあります。

 

●土の圧密沈下

圧密とは、土を構成する(土粒子・空気・水)成分のうち、特に土の中の水(間隙水)が時間とともに抜けていくことにより、土の体積が収縮することです。盛土や埋戻土といった人工的に作られた土地の土は、自然に堆積してできた土に比べると時間がたっていないため、収縮しやすい傾向があります。一般的な不同沈下は、土の圧密によって発生します。

 

どんな場合に盛土や埋戻し土は不同沈下を引き起こすのでしょうか。

 

【1】軟弱地盤上の盛土の場合

軟弱地盤上に盛土をすると盛土の重みで空気や水分が抜け、盛土の下の軟弱地盤は沈下します。盛土自体も時間とともに収縮します。盛土の上に建物があると、その重みも加わります。特に腐植土が分布する軟弱地盤の上に盛土をした地盤は沈下しやすい傾向です。

 

ただし、軟弱地盤の上に盛土造成した土地でも、適切な造成工事を行えば沈下をある程度防ぐことができます。比較的規模の大きい盛土地では、沈下が起こらないような対策をした造成工事が多く行われています。

 

【2】切土・盛土造成地に建てた場合

山や丘を造成して住宅地とする場合、山の一部を切り崩した土を盛土として利用し、傾斜部分をならして造成されます。この切土と盛土の境界をまたぐ形で家が建築されると、地盤の硬さに違いがあるため、新しい土を入れた盛土側が沈下しやすい傾向です。また、雨水などで盛土側の土が圧縮し、地面が下がることで家を傾かせる原因になることがあります。

 

【3】軟弱地盤の上に重量配分の偏った家を建てた場合

地盤が軟弱な場合でも、それに見合う基礎を築いて重量配分を均等にした住宅を建てれば安全ですが、荷重に偏りがあれば重量のある部分が沈むことがあります。

 

【4】埋戻し土等の締固め不足の場合

元々構造物や大きな樹木などがあった土地や、池や井戸・地下室などのあった箇所を埋め戻すことで地盤を築いてある場合、その箇所の締固めが十分にされていないと傾きを起こすことがあります。

 

【5】不適切な材料による盛土

コンクリートガラやゴミ、木片など適切でない材料が混入した盛土の場合は土の中に隙間が多く、沈下の原因となります。

 

地盤沈下で起こる被害とは?

地盤沈下で起こる被害は、直接的被害と間接的被害があります。具体的な被害について、それぞれご紹介します。

 

●直接的被害

地盤沈下が起こると、建築物・構造物の傾斜やひび割れが発生します。構造物が垂直に沈むのなら傾斜やひび割れの度合いは少ないですが、多くの場合は沈下の深さに偏りが出るものです。

地盤沈下の対策方法道路も凹凸が出て、住宅と道路の間に隙間ができます。道路と橋げたとの間にも段差が発生し、橋が使えなくこともあります。道路の下に通っている配管の破損も深刻です。ガスや上下水道など、ライフラインがストップして、近隣住民の生活に深刻な影響を与えかねません。

 

また、建物や井戸の「抜け上がり」という現象も発生の可能性があります。抜け上がりとは、地盤沈下や液状化現象などが原因で地面は下がっても、固い支持層まで杭を打った構造物は沈下せずに地面よりも高くなることです。抜け上がりが酷い場合、地面と建物の間に段差ができるため、家とつながっている配管が高低差により寸断されて、ライフラインがストップするかもしれません。

 

治水施設や設備、かんがい排水施設の損壊も深刻です。治水施設が破損してしまうと、大雨などに見舞われたときの水害が心配されますし、農業用地へのダメージも計り知れません。

 

●間接的被害

地盤沈下が起こった結果、発生する接的被害も、さまざまなものがあります。大きな人的被害が予想される被害は浸水被害の発生です。浸水被害は、地表面と河川、排水路の水面との高低差がなくなり排水効率が悪化することによって発生します。排水効率が悪化すると、小雨でも浸水が発生するように。日常生活、農業などに影響が起こる場合があります。

 

また、身体へも影響も忘れてはならない間接的な被害です。不同沈下により傾いた建物に住み続けると、身体に影響が出ることがあります。傾きの度合いによって、以下の影響が出るかもしれません。

 

・0.6度程度の傾き…めまいや頭痛を感じる場合がある

・1度以上の傾き…頭が重く感じたり、浮動感や牽引感を覚えたりする可能性がある

・2度~3度の傾き…頭痛、吐き気、食欲不振などの比較的重い症状が発生するおそれがある

 

不同沈下が起こると、建物の資産価値も低下します。将来的に今の住居を売却して新しい住居の頭金にしたい、などと考えていた将来設計が無駄になる可能性があるのです。

 

事前に対策はできるのか?

不同沈下による住宅の傾きについては、事前に対策が可能です。一度傾きながら沈んでしまうと、生活すること自体が困難になってしまいます。

 

建てた後で、地盤の異常に気付いて対策工事を行うよりも、事前に正確な地盤調査を行い、地盤状況に応じた適切な地盤改良工事を実施して住宅を建てる方がリスクを最小限に抑えられます。

 

不同沈下をした住宅の修正工事の工法と費用は?

不同沈下が起こってしまった場合、その修正工事にはいくつかの工法があります。地盤状況により修正工法は異なります。影響を与える地盤の主な状況は以下の通りです。

 

・沈下の原因

・支持層の有無

・支持層の深さ

・沈下の進行状況

・建物の基礎形状

 

それでは、地盤沈下における修正工事について、各工法の概要と費用について確認しましょう。なお、費用は面積60平方メートル当たりを想定しています。

 

●鋼管杭圧入工法

*工法の特徴

建物下の基礎を掘り下げて地中に鋼管杭を圧力で挿入し、建物を持ち上げる工事の方法。支持層が負荷さ30m以内に存在する場合使えます。

*費用

600万円~

 

●耐圧版工法

*工法の特徴

基礎の下を掘って耐圧版と油圧ジャッキを入れ、水平になるよう調整する方法。安定した層が2m以浅にある場合、基盤のN値が5以上の場合に使えます。

*費用

450万円~

 

●土台上げ工法

建物と基礎部分を切り離して間に耐圧版を入れ、水平になるようジャッキアップして調整する方法。地面を掘らずに済み、1週間程度で対応可能で費用も安く、工事中も住居に住み続けられる点が特徴です。ただし、基礎修復が必要であり、建物の構造に影響を及ぼすことがあります。地盤が安定し、沈下が終息していることが条件であり、沈下が進行していると再沈下の可能性もあります。

*費用

100万円~

 

おわりに

今回は、住宅を傾かせてしまう地盤沈下の原因や事前の対策についてご紹介しました。住宅の傾きを放置させていると、暮らす人の不快感が避けられないだけでなく、住宅の構造材にひずみが生じ、ゆくゆくは家全体が変形してしまうことにつながります。

新築の家に住み始めて数年後、扉の建て付けに変化を感じたなどのケースでも、住宅が沈下している可能性があります。

建てる前にしっかり地盤の状態を確認し、適正な方法で家を建てることはもちろんですが、建てた後に万一の事態があった際も、早期に相談して確実に対策を行うことが重要です。

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ジャパンホームシールド株式会社
ジャパンホームシールドは戸建住宅の地盤調査・解析、構造設計、住宅検査を手掛ける企業です。 年間10万件を超える地盤調査・解析実績は国内No.1。 住まいの安全・安心を追求し、住まいづくりに役立つ情報を発信いたします。